43. セントローレンス川

 

河口では
海の水と川の水がまざっていた
魚たちは相談した
いったりきたりしましょうよ
海のお塩はおいしいよ
川の波もやさしいよ
 
河口は あまりにも広く
海の水が川に押し寄せた
波といっしょに 
遊びにゆこうよ
セントローレンス川に
 
河口は あまりにも広く
誇りに満ちた川の魚が言いました
「遊覧船にのりましょうよ
川ぞいの森はもっと茂り
あなたたちを歓迎するでしょう」
 
海の魚も川の魚も 手をたたき
満場一致で 
その意見は採択された
議長のくじらは 自分ものると宣言し
木槌(きづち)で机を打って 議会を閉じた
 
当日 セントローレンス川の遊覧船
押すな押すなの魚たち
鯛もまぐろも いらっしゃい
かにもあわびも 
のりましょう
 
船底ボイラーマンのビーバーは
鉢巻き巻いて釜をたき
昼も夜も釜をたき
尾のうちわで 
あせを飛ばした
 
船は静かに川上(かわかみ)の
水音豊かな泉にのぼっていった
森のふもとの岸辺に着いた
日差しはあわく
生まれたばかりの朝日たち
まだ眠たげに目をこする
 
海の訪問者の1日観光
市長はくるみ くるみの木
みんなに
木の葉の帽子とくつを 用意した
くるみのお菓子を用意した