37. 「さようなら」と言った時
あなたと別れたのはいつだろう
「さようなら」と言ったのは
私は街路樹を見て
木の名を考えていた
ポールにはためく旗を見ていた
私の国の国旗をさがした
通りはYの字形に分かれ
「どちらに進んでも同じところにゆき着く」と教えてくれた
でもあなたの目が思い出せないのは なぜだろう
ビルの立ち並ぶ通りで
まぶしく光が反射し
私に 別れの時を忘れさせた
やがてたそがれが訪れ
異国の旅を悲しくさせた
街路樹も旗も 同じ色に染まった
私はきっと 別れを告げなかっただろう
そのことばは Yの字形の通りのように
再会のことばにゆき着く
太陽は一瞬の黄金をはなち 沈んだ