31. 冬至のかぼちゃ

 

かぼちゃを持ってきた
「冬至なので食べてください」と言った
なぜこの日 かぼちゃを食べるのだろう
「黄色いからです」
続けて 太陽の色と似ていると言った
「皮はかたいけれど 
むかずにたいてください」
 
私は言われた通りにした
盛られたかぼちゃは
太陽とはかけはなれた くずれた破片であった
皿の上に 皮を下にしてならべた
「空にむいているように見えるね」
やわらかい食べものは
はしのなすがままに 素直にひと口大になった
 
翌朝 畑に出て 
霜が降りてかたくなった土をおこし 
種を埋(う)めた
餌にこまった鳥がつっつかないように
枯れた草をかぶせた
「これから冬になるのだから きっと芽は出ないよ」 
そばに立っていた人が言った
 
夜がもっとも長い日だというけれど
朝日は決まった時刻に差してきた
冬枯れの白い木の幹を 
黄色く染めた
ああ これがかぼちゃの色
日は 霜の畑をどこまでも照らし
反射する光で目が痛かった